MCCPは、環境や健康に悪影響を及ぼす可能性がある物質とされています。
それぞれの問題点について説明いたします。
身近な例で考えてみましょう。MCCPが環境中に放出されると、生態系の中で濃縮され、魚や鳥を通じて私たちの食卓に戻ってくることも考えられます。
また、一部の研究ではMCCPが健康に悪影響を与える可能性も指摘されています。
欧州連合(EU)では、化学物質の規制を統括する「REACH規則」に基づき、MCCPが高懸念物質(SVHC)として対象となり、使用制限が進んでいます。
また、国際的な枠組みである「POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)」においても、MCCPを有害物質として規制対象に追加する動きが進行中です。
日本国内でも、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、MCCPの使用が制限されています。
これらの規制は、製造業や輸出入業にとって大きな影響を与えます。
規制に対応しなければ、製品の市場流通が制限される可能性があるからです。
そのため、多くの企業は、今後の規制強化を見据え、MCCPを含まない製品への切り替えや、代替物質の検討を進めています。
特に、金属加工油や難燃剤など、MCCPが使用されている製品に関しては、積極的な対応が求められています。
私たちイチネンケミカルズは、金属加工油のなかでも切削油の一部製品にMCCPが配合されており、非含有製品の開発に注力してまいりました。
04:切削油とMCCPの関係
鉄をはじめアルミ、ステンレスなどの難削材を加工の際に用いられる切削油にも、潤滑性の向上、耐熱性の強化などの目的からMCCPが含まれることがあります。一般的に「塩素系切削油」と呼ばれることが多いです。
その一方、先述の背景等によってMCCPを含まない切削油、「非塩素系切削油」の需要も年々増加しております。
また、水と油のエマルジョンを利用した水溶性切削油は高い冷却性能をもち、経済的にも優れているため需要が高いという特長があります。
では、塩素系・非塩素系・水溶性切削油にはどのような違いがあるのでしょうか。
これらを比較してみると、非塩素系切削油がオールマイティーに使えるタイプということがお分かり頂けるのではないでしょうか。
そして、イチネンケミカルズは、塩素系切削油にも劣らない切削性能をもつ非塩素系切削油「ステンカットF」を開発しました。
「ステンカットF」はMCCPを含まないため環境・人体への影響にも配慮。基油(ベースオイル)にエステル油等の合成油を使用しており、これは塩素系添加剤を配合した鉱物油よりも潤滑性能に優れています。
さらに、消防法「指定可燃物 可燃性液体類」に分類されるため引火点が高く、オイルミスト・油煙の発生を大幅に低減させるので、油分による転倒や機械、金属部品の腐食を防げるというメリットがあります。
ステンカットFの切削性能の比較を行った紹介動画はこちらからご覧いただけます。
05:今回のまとめ
MCCP規制は、環境や健康を守るための重要なステップです。
自社で使用されている製品にMCCPが含まれていないか確認し、必要に応じて代替物質を検討する必要があります。また、業界の最新動向や規制の進展を定期的にチェックすることも欠かせません。
そのため、規制への対応で重要なことは「情報を集めること」と言えるでしょう。あるいは、規制を「制限」と捉えるのではなく、新しい材料や技術を導入するチャンスと考えてみるのも良いかもしれませんね。
また、MCCP規制に準拠した安全な切削油を選ぶことで、工場の環境負荷を減らし、社員の健康を守るとともに、製品品質の向上にもつながります。
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